5

4/4
前へ
/26ページ
次へ
岡田さんは俺の強い視線を避け、氷だけが残ったグラスに手を伸ばし、中身を見つめてる。 しばしの沈黙の後、 「ごめんなさい。北野さんのルックスは言い訳だね…勿論中身もバッチリ好青年で、好感が持てるよ。 って結局、自信がないのは、自分自身なんだよね~」 はあ、とタメ息をつきながら肩を落とし、 「今は関心があるって言ってくれるけど、どのへん? 付き合って幻滅されたら?新鮮味が薄れたら?…別れた時ダメージが大きいよ。」 何故、付き合う前から、別れ? 始めてもみない内から…彼女の臆病な一面が良く分かる。自己肯定感の低さが原因か。 料理がやってきた。ついでに、さっきと同じお酒を注文した。 美味い! 料理をツマミながら、俺にしては珍しく、少しおどけて話始めた。 「実際、今この段階で、岡田さんが好きで好きで堪らない~!オーラ出してたら、引くでしょ?」 「それに皆が思う程オレ、恋愛経験ないんで、付き合い方?女性が好きな事余り分からないですよ。」 「今は、お互い興味がある。それで始めません? 将来、岡田さんにドハマりして、俺の方が鬱陶しがらるかも。」 岡田さんはプッと吹き出し、 「北野さん得意の、粘りの営業?」 ようやく雰囲気が和み、彼女は料理を口にした。 「美味しい!」 俺の好きな満面の笑みを浮かべた。
/26ページ

最初のコメントを投稿しよう!

55人が本棚に入れています
本棚に追加