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お腹を満たして、軽く飲んだだけなので、店を出た時は、まだ宵の口だ。
岡田さんは、俺の体調を心配して、送りを辞退してる。
だが彼女んちは、公園を通り抜けるだけだし、それにまだ返事を聞いてない。
ゆっくり歩をすすめる。
この頃蒸し暑くなってきたが、夜、緑地で吹く風は爽やかだ。
「実はさ、新人の時、付き合った人がいたの。片思いじゃない相思相愛の、初めて彼氏で浮かれて、緊張して…」
「自滅しちゃった。
相手がどうすれば喜んでくれるか、忖度して頑張り過ぎて、疲れちゃったの。」
歩きながら告白する彼女を、じっと見る。
「そんな波長が伝わったんだろうね、彼も同期の新人で忙しかったから、自然に別れたかな。」
「もう、そんな疲れた想い、2人なのに寂しい想いするの嫌なんだよね…趣味や食べ物、一人でも楽しい事は一杯あるしね。」
俺は立ち止まって、夜空を見上げ
「俺もね、顔が良くてウハウハだった訳じゃないですよ。想像してたのと違う、期待外れなんて言葉を浴びると、凹むんです。傷つくんです。一応、人間ですから。」
「ははは、時々北野さん無表情でお人形みたいだもんね~
お互い、真面目なだけなのに…」
数歩前に進んでた彼女は、くるっと俺の方を振り返り、大声で
「やっぱ、恋愛しよう!」
「びっくりした~いきなり。
嬉しいけど、どうしたんです?」
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