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「ん、お互い恋愛経験少ないなら、積めば良いんじゃんと思って。」
「だから、さっきから言ってます。」
「前は相手の都合や何やかんやを先まわりして考え過ぎちゃって、自滅したけど、今回は北野さんの仕事のスケジュール、ばっちり私が把握してるからさ、」
「……」
「忙しくない時に、デートの予定を入れれば良いし、余計な詮索して気疲れしなくて済む!」
両手を腰について、エヘンと威張る様に胸を反らす様は、まるで子供だ。
「ぷっ」
可笑しい。本当にこの人は、年上に見えない時がある。
「笑ったわね、北野さんにだってメリットあるのよ。
女性が喜ぶ事知らないなら、私がタップリ教えてあげる!
恋人とやりたい事、やって欲しい事一杯あるもん。」
「まず始めに、ハグ!」
と言いながら、恐る恐る手を伸ばしてきた。
「公園でいちゃつくカップル散々見てきたからね、私もしたかったんだ~」
まったく、ゲンキンなもんだ。
「お手柔らかに願いますよ。」
少し呆れながら、抱きしめた彼女は温かかった。
「それとね、北野さんも嫌な事、したい事ハッキリ言って欲しいんだ。」
彼女の腕に、ぎゅっと力が入るのが分かる。
「お互いが探りあって、駆け引きするのも恋愛の醍醐味かも知れないけど、それをするには時間が無すぎる。」
彼女の年齢を考えれば、それもそうだ。
「じゃあ、言いますね。
俺は女性の香水が好きではありません。
男子校だったので、汗臭いのは免疫ありますが、デパートの化粧品フロアのあの匂いは、耐えられない!」
「あはは!北野さんが、たまに女性から顔をそらすの、そのせいか~」
岡田さんはハグをほどき、腹を抱えて笑いだした。
「披露宴の時、岡田さんがつけてたボディクリーム、あれは穏やかな自然の花の香りで良かったです。」
「ふふふ、了解。北野さんはナチュラル系がお好き、と。」
彼女は体勢を戻しながら、目元に浮かんだ笑い涙を拭き、
「じゃあ次。したい事は?」
そんなの一杯ある。でも、まず
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