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彼女を引き寄せると、おでこに軽く口づけた。
「えっ」
笑い顔が、固まる。
近づき過ぎない様に、両肩に手を置いたまま
「こうやって色んなとこに、キスしたいです。」
「…分かりました。愛情表現はハッキリ、豊かにという事ですね。まあ、曖昧より良いです。
駒井くんが関心もった女性、取引先の人と交際し始めたって。愚痴聞いてたら彼、余りにヘタレ過ぎて…」
岡田さんは、緊張のあまりかマシンガントークを始めた。
俺は取引先という言葉から、突然、
熊みたいな風貌の、○○製作所の田中さんを思い出した。
駒井の恋バナを聞く程、親しいのかと思うと共に、昼間の彼…
今度は頬に、さっきより強く口づけ
「駒井の話、他の男の話はしないで。」
耳元で囁く。
彼女は固まりながら、コクコクと頷き
「…キス魔?さっそく独占欲?」
と呟いた気がした。
彼女がマンションのエントランスに入ったのを見送った。
妹さんと住んでるというから、今後会社帰りの逢瀬は、この公園か、俺の部屋になるだろう。
確実に距離をつめ、自分のテリトリーに入れたい。
いつまでも、あの笑顔を見ていたい。
そんな想いに捕らわれた、初めての女性。
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