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ほっといてくれ。 というのが、正直な感想。 仕事は熱意を持って取り組んでるし、ベストを尽くしてる。 愛想が良いとは言えないが、人には誠実に接してる。 別に私生活に彩りがなくったって、都会に住む男の独り暮らし、何とかなる。 そういった胸踊る事もない日常にいた俺に、辞令がおりた。 営業二課への移動。 一課と同じフロアーだが、二課は販路が海外向けなので、一課と比べて断然、出張が多い。 二課の役職付は、ビジネス英会話以上を求められ、実際、語学堪能な人達ばかりだ。 移動理由は、今後二課で、欧州特にドイツ語圏に向けた販路拡大で、ドイツ語を話せる人間が欲しかったらしい。 一課にいた時、第二外国語をドイツ語を修得した旨、卒業旅行もドイツ、その後も独学を続けてる事、何かの折り上司に話した事があった。 しかし特殊用語を含む商品説明をドイツ語で話すとなると、今より勉強の時間を多く取らねばならないと、気が引き締まった。 移動後、気持ちを新たにした俺に、引き継ぎや業務全般の補佐をしてくれる女性社員がついた。 それが、彼女、岡田彩也香だ。
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