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忙しさが一段落したところで、俺の歓迎会、寿退社する同じ課の社員の送別会など会社の公式飲み会が続いた。 そこで、分かった事がある。 彼女は飲む程に饒舌になり、普段、業務外の事は俺と話さないのに、今や彼女の事で知らない事はない位だ。 深酒した彼女は、 『制服着たドSが好き!』 『10年前に、彼氏と別れたきり』 『色々ダイエットしてるが、続かない』 『妹の方が美人なのが、ズルい』 『まだ飲む~』 等々、見事な酔っ払いに変身する。 解散時には、真面目に仕事をこなす姿と180度違う、ぐでんぐでん星人の出来上がりだ。 先日の駅前で見かけた姿を思い出し、うっかり俺が 『岡田さんは、A町?』 と、聞いたら 『そう!桜の大木が出口にある○○池公園の左側のマンション!』 と、具体的なんだか曖昧なんだか分からない ビミョーな返事をしながら、座り込みそうな勢い。 酩酊した女性を放置する訳にもいかず、近くに住む俺は、タクシーに同乗した。 タクシーに走り出して直ぐ、左肩に重みを感じた。 岡田さんが寝てる。すやすやと気持ち良さそうに。 誰かの温もりを感じたのは、久しぶりだ… 岡田さんの頭を肩に乗せ、流れいく景色を見ながら、ここ最近の日常が落ち着くまでの忙しさを思い返し、ふっと息を吐いた。 俺の少し長い呼吸の振動が伝わったのか、岡田さんは無意識に、頭の位置を整えた。 仕事中の岡田さんから想像出来ない。あり得ない無邪気な寝顔。 彼女は泥酔し寝ているから、こういった自然なスキンシップをするのだろう。 彼女が晒すギャップに驚くのと同時に、不意に訪れた温もりを心地好いと感じた、自分の私生活がいかに渇いてるかを自覚した。
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