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 覆い隠した指の隙間から恐る恐る目を開けると、卵は奇跡的に割れずにゴロゴロと転がっていた。だがホッとしたのも束の間。異変に勘づいたドラゴン達がこちらに近づいてくるのが見える。 「おいどうすんだよ。奴らこっちに向かってくるぞ。」 「アンタのせいでしょうが!! 言われなくても分かってるわよ!!」  私は中にいるスライムのこと等ものともせず、卵の元まで駆け寄る。苦心の末にようやくここまで来たのだ。死が目前まで近づいているとはいえ、このまま引き下がることなんかできるはずがない。拾い上げた卵は少しヒビが入っていたものの、そこまで高い位置から落ちた訳じゃないので大したダメージは入ってなかった。  だというのに。そのヒビは徐々に縦に広がっていき… 「…ぎゃう。」  何と、私の腕の中で孵化してしまった。 『「えっ…うそ…」』  あまりに信じられないことが起きて私もスライムも同じ言葉を、全く同じタイミングで漏らしてしまう。そんな呆気に取られている私達に、ドラゴンの群れが怒り狂いながら猛スピードで接近してくる。意識を取り戻した頃には時すでに遅し。あっという間にドラゴン達に囲まれてしまい、命運共に詰みの状態だった。  こうなったらもう破れかぶれだ。私はまるで追い詰められた極悪人の様に、産まれたばかりの赤ん坊を人質に取り、杖を突き付ける。 「そ、そこを退きなさい!! じゃないと…この子の命は無いわよ!!」
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