1/4

2/6
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
「やるしか…ないよね…」  胸に手を当てて、深呼吸を繰り返す。集中しないと全力の魔法を放つことができない。不思議なことにドラゴンはこちらの姿を目に捉えつつも、襲ってくる素振りを見せない。策を練るなら今がチャンスだ。私は瞑想に入りながら、どうすればあのドラゴンを倒せるか考える。  ドラゴン種は鱗を持つから得意の火魔法じゃびくともしない。リザード種程度なら氷魔法は効果あるけど、ドラゴン種程の肉の厚さじゃ通じないだろう。雷、風魔法も日々雷雲渦巻く大空を飛び回っている奴らには効果は薄いはず。  となれば残るはひとつ。土魔法一択しかない。いくら頑強な鱗を持とうと、肉体を引き裂く鋭利な岩で串刺しにすれば傷をつけること位はできるはずだ。幸いこの辺の土は火口が近くにあるためか、ガラス片や鉱物の欠片等の傷を与えるにはうってつけの成分が多く含まれている。一撃は無理でも相当な痛手を与えることはできるはずだ。 「そうなると、まずはあの翼をどうにかしないと…」  岩石を飛ばすという手もあるけど、的中率が低いことを考えると適策じゃない。一番良いのは地面から岩針を生やす方法だけど、飛んで避けられたら一貫の終わりだ。如何に頑強な体躯をしていようと、生物である以上脆い箇所がある。そう、例えば翼の付け根とか!!  私は岩場から身を出して、極限まで圧縮した風の刃をドラゴンの翼の付け根目掛けて投げつける!!
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!