3/4

9/12
19人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
 やがて汚い所は全て舐め取ったと言わんばかりに、音の停止と共に舌の蠢く感触が消えていくのを感じ取る。神業に等しい舌使いにすっかり骨抜きにされた私はピクリとも体を動かせず、暮れ行く大空をぼんやりと見詰め続けることしかできない。  あの舌でアソコをまさぐられるのは極上の一時ではあったけど、その前に散々イキ尽くしたせいか恍惚の頂点に達することはついにできなかった。どこか後ろ髪引かれながらも、全て終わって一安心している私に、ドラゴンはまだやり残したことがあると言わんばかりに舌の動きを再開させる。 「ひぃやあぁあっ!! なに!? なにが、たりないっのぉ!?」  ドラゴンはさっきと違って縦横無尽に舐め回すことはせず、恥骨付近にある窪んでいる一ヶ所のみを焦点に絞って擦り当て始める。先程までの優しい舌使いは影を潜め、女をイカせるための乱暴な動きに変貌する。今までのどの快楽をも軽く超越する刺激が全身を駆け巡る。 「やあああぁー!! そこぉ!! そこはだみぇえ!! だみぇだっでぇええ!! おかひくなるぅ!! おかひくなっひゃうからぁあ!!」  もはや知性の欠片も無い頭で思い付く限りの言葉を、人語でさえまともに喋ることができない呂律で必死に懇願する。当然ドラゴンがそれを聞いて止めてくれるはずもなく、元々人語を理解できないのもあってか同じ扱き加減をキープしながらクンニし続ける。その強弱が変わることのない攻めから、この子が私の絶頂の先にある何かを強く切望していることを脳裏で悟る。そしてそれがもう目前まで近づいていることも… 「もうだみぇえ!! もう、がまんできにゃいぃ!! きちゃう!! でちゃう!! イッちゃうぅう!!」  大量の垂涎(すいぜん)の湖の上で。  美食を渇望する、流れる血すらも違う幼き子供に。  私はとうとう秘伝のメインディッシュを捧げてしまう。 「イクイクっ!! イッ!! イヤァあぁああぁあー!! あぁあぁああー!! あぁあぁぁ…いっ、あぁぁ…ぁ…」  天すら越える絶頂と同時に、熱い何かが勢いよく噴き出したのを感じる。  それこそがドラゴンが求めていた物らしく、舌を受け皿みたいにすぼめてお目当ての物をこくこくと喉に流し込んでいく。  しかし相当な量を出してしまったのか。はたまた今も出し続けているのか。その全てを取りきることができないらしく、僅かに開いている口角からとろみのある透き通ったスープが滴れ落ちていく。  一人と一匹。いや二人の色々な感情や物質が混ざり合っているにも関わらず、不純物を一切含まない濃厚なラブスープを一滴足りとも無駄にしまいと、ドラゴンはようやく口を股から解放して草葉に零れ落ちた物を(すす)り始める。  草いきれを思わせる仄かな熱気に包まれながら、私はようやく落ち着ける安心感と共に事切れていった…
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!