アタマのタマゴ

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アタマのタマゴ

 信じられないかもしれないが、この国の人間は、頭の上に卵をのせた状態で生まれてくる。卵は横向き、縦向き、時には斜めと、様々な格好で頭についている。色や大きさも人による。人間の性格に個性があるのと同じように、卵にも個性があるのだ。だが大きさだけをとれば、赤ちゃんの手の平くらいの大きさの卵が平均的だった。  どんな原理でついているのか、多くの学者により長年研究がされているが、未だに分かっていない。分かっているのは、卵は頭に根を張っていて取れないということ。卵の殻と内部にも神経が繋がっているが、何故か卵の内部はレントゲンでも調べることができないということ。食用のものとは違い、頭の上の卵は丈夫で、ちょっとやそっとの衝撃ではヒビが全く入らないということ。身体の成長と共に卵も大きくなり、子どもが十歳頃になると卵が孵化して中からモンスターが生まれてくるということ――
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