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谷崎 海斗。
ノートにそう書いた。
黒板では、英語の授業中。
めんどくさいって思いながら、ノートを取る。
ふと、窓の外に見える校庭に、一組のハードルの授業が見える。
茶髪の彼。
薄い胸板に、すらりと伸びた脚。
彼は、私に無いものをたくさん持っている。
私も、彼みたいに翔びたい。
自由に、なりたい。
先生のたどたどしい英語の発音を聴きながら、私は書いた名前を消ゴムで消した。
うっすらと残った名前の跡を恥じて、私は指で隠した。
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