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「ふああ」
ソファの背もたれに首を休めるセルンとニロを交互にみて、こっそりため息をこぼす。
険悪な雰囲気ではないけれど、微妙に空気が重いのよね……。どうすれば二人はもっと仲良くなってくれるんだろう……。
しばらく沈黙が続くと。
「……スー」
「?」
セルンの規則正しい寝息が聞こえてきた。
まあ。珍しい。セルンがすやすやと眠っているわ……。
やはり昨日は無理をさせちゃったみたいね。
部屋に控える使用人に毛布をお願いすると、それをセルンにかけた。それに気づいたニロは顔をしかめ、近寄ってくる。
「……ぞんざい千万」
(あ、起こさないであげて、ニロ! 昨日の夜遅くまで相談に乗ってくれたから、セルンが疲れたのよ)
ニロの手を止めてそう説明すると、相当セルンの態度が気に障ったのか、ニロはひどく険しい表情を浮かべた。
「夜、遅くまで……?」
重厚感のある声と共に、絡めあっていた銀の瞳が眇められ、逆に手をつかまれた。
え、なに。 怒りの対象は私なの……?
「具体的にどこで何時までだ、フェーリ?」
か、顔が怖い……。
思わず後ずさる。
「……ん? 相談?」
近くまで迫ってくるニロが怒り出すかと思いきや、突然首を傾げた。
(あっ、それならもう解決したから、気にしないで……!)
瞳でそう返すと慌てて彼から目を逸らす。
ニロのことで悩んでいたなんて知られたら恥ずかしい……。
「何の相談だ、フェーリ?」
(些細なことだよ……! ニロが気にするほどでもないわ!)
相談の内容をなるべく考えないでそう返せば、見逃さんとばかりに銀の視線が私の目を捉えてきた。
なんとなくバレる気がして不意に窓の外に目をやると、ピカッとなにかが光った。
ん? いまのはなんだろう?
窓枠に手をかけて見上げると、山の上に黄色い建物が目に映った。
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