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「ねぇ、お姉ちゃん、海外の人?」
わくわくとそう聞かれ、頷くと、女の子は弾ける笑顔を見せてくれた。
「わぁぁい、外国人! 初めてみた!」
明るい声だわ。とっても嬉しいそうね。うふふっとほっこりしたが、ふと疑問を感じた。
初めての外国人……? でも南の経済は観光収入に頼っているはずだけれど……。
あそうか、6年に及ぶ宗教戦争で観光客が途切れたんだ……。
「すげぇ! オラも初めてみたー!」
つられて男の子も興奮し出した。
「お兄ちゃんも外国人?」
「ふむ。そうだ」
ニロが肯定すると、三人はウキウキと近寄ってきた。
「髪の色も目の色もオラと違う……すげぇよ!」
「わぁあ! 本物が二人も!」
「……がいこくじん……ちゅごい」
三人にまじまじと見られて、少し後ろめたさを感じた。
これからジョセフが王になったら、きっと国は安定して再び観光客が戻ってくるはず。いまはそう信じるしかないわ。
「ふむ。余はニロ、そしてこちらはフェーだ。よろしく頼む」
フェー? ニロの自己紹介に違和感を覚えて思わず首をひねれば、
「すげぇ! フェーって聖女様の名前と似てるー!」
「いいなあお姉ちゃん! 羨ましい!」
「……うらやまちい……」
と子供たちがわあっとはしゃぎ出した。
あっ! うっかりしていたわ。
そういえば聖女として拝められているから、名前を教えたらすぐにバレてしまう。それでニロが気を利かせてフェーとだけ紹介してくれたのね。さすがだわ。
「……よろしく」
こわばる唇でそう呟くと、三人は元気よく「よろしく!!」と返してくれた。
うっ、一応本名だけれど、何気なく子供を騙しているみたいで気が気じゃないわ……。
「ふむ。それでお前らの名は?」
平然とした顔でニロがそう問うと、一番年上の男の子は待ってましたとばかりに声を張り上げた。
「オラはリットだー! あとちょっとで7歳!」
「うっそよ、うそ! あたしと同い年でまだ6歳のくせに!」
呆れた顔の女の子にそう指摘され、リット君は不服そうに口を尖らせる。
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