ハイハイももちゃんの冒険

9/9
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「かんた、かんた、どこで寝てるの」 ママに起こされる。  気がつくと僕は、リビングのカーテンの陰に転がって寝ていた。手には剣を持っていて、近くにくまとうさぎのぬいぐるみも転がっていた。  くまのお腹は、やっぱりいつもよりちょっと出ている気がする。 「おかしいなー、ブロック、ここに置いておいたのになあ……」 お兄ちゃんの声がする。 ブロックの恐竜が完成していた。 あれ?でもおかしい。片っ方の足だけブロックが足りないみたい。 「かんた! また乱暴にして! うさぎさんの耳が取れそうじゃないの」 ママはうさぎの耳に巻かれたハンカチを取ってため息をついた。 それは、ももちゃんが… 言おうとしたけど、やめておいた。 「でもかんた、ハンカチで直そうとしてくれたのね、ありがとう」 僕のハンカチに気づいたママが、頭をぐしゃぐしゃ撫でてくれた。 「あれ、またももがいないぞ?! どこいった?!」 パパが言って、みんながももちゃんを探し始めた。 あ! 僕、知ってる!  キッチンの裏を回って、勝手口の方に行くと、すだれがゆらゆら揺れている。 「ももちゃん、みーつけた!」  すだれをめくると、トンネルはなくて、いつも通り勝手口が閉まっていた。  その前にももちゃんが座って何かをかじってる。 「もう、ももちゃん、心配したじゃないの」  みんなが僕の後ろに集まってくる。  ももちゃんはお兄ちゃんのブロックをかじりながら、ニヤッと笑った。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!