《ウラとオモテ》後編

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「レン!」 開いていた部屋に二人して入っていくナギ。 「…ナギ、」 気付いて呟くように声を出すレン。 フユは状況がよく飲み込めず混乱したままだ… 「お前、コイツと付き合ってんだろ?」 直球に手話を交えながら聞くナギ… 「付き合ってはいない…」 首を振り、ゆっくりだが声に出して答えるレン… フユも、うんうんと頷く… 「じゃなんでキスしたんだ、俺が好きなのか聞いた時も、お前、フユのこと好きだって答えただろ?」 「キスはしていない…あの時のことなら、キスじゃなく、顔を近づけて喋っただけだ…」 今度は素早く手話だけで伝え返すレン。 「んな、好きだっていったのは?」 驚き言い返すナギ。 「友達として、好き、と言う意味だ…勘違いしたのか?」 少し笑っているレン。 「ってめ、わざとか?」 手話を忘れて零れる言葉。 「ナギがなかなか、気付かないから…発破をかけてみた…」 双子の兄の言葉を読み取って、手話で言葉をかえす。 「ぐっ…くそーなんか悔しい!」 計られたのがなんとなく悔しくてじだんだを踏むナギ。 「気付いたみたいだな…」 柔らかく笑って伝える。 「…っ、たく、よけーなお世話なんだよ、」 照れ隠しなのか、少し辛口な言葉を呟くナギ。 「アンタの諦める姿は…もう見たくなかったんだ…」 優しい雰囲気のまま伝える。 「レン…」 「…この耳が悪くなったのも、お前のせいじゃないし…俺はお前に見てもらわなくても生きていける、今が幸せだ…だから、今度はナギが自由になる番なんだ」 「俺は…」 「フユと一緒に、自由になればいい…」 付け足すように言うレン。 「…それは、ここを出ろって意味か?」 「……」 静かに頷く… 「フユはここにいたら、いずれは性優に仕立て上げられる…だから逃がしたい…」 ナギは手話で本心を伝える。
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