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でも、事故をおこした犯人は、半年が過ぎても警察では見つけられなくて…
生きる希望も失いかけてたとき…
アイツをみつけたんだ、忘れもしないあの現場から逃げ出したあの男…
ずっと探していた相手…
頭がかっとなって、後先考えず、その男を捕まえていた…
どうしても謝りの言葉が聞きたくて…
けれど、アイツは、謝るどころかおれを…弟を、けなした…嘲笑った。
悔しくて悔しくて、本当に許せなくて…
アイツは、この会社がすべてだと言った…
弟の命よりも、自分の会社が大事だと…
だから、おれは潰してやろうと思ったんだ、おれの大切な物を奪ったんだから…
おれにはその権利がある…
けれどアイツは、警察に捕まるのを恐れておれを監禁したんだ…
何日も…
その間にこの薬物打たれて…弱ったおれに、事故のことすべてを思い出さないよう暗示みたいな催眠術をかけて…
それからゴミのように捨てられたんだ…
フユが思い出したことを黙って聞いていたナギも…
内容に驚きを隠せない…
「おれは…許せない、アイツだけは許せない」
フユの心に復讐心が蘇る。
真剣な眼差しのフユ…
嘘だとは思えないが…
あんなナリでホームレスなんか、訳ありとは思ったけれど、モロうちが関係していたとは…
「……そんで、俺がここまで拾ってきちまったってわけか…」
ナギはぽつりと呟く…
自分は、とんでもない爆弾をひろってきちまったらしい…
ナギは内心焦りながら思う。
「復讐からは何も生まれやしない…明日にでも、隙をみつけて逃がしてやるから、ここには戻ってくんな…」
「……嫌だっ!」
それを聞いて反射的に言い返してしまうフユ。
二度と戻るなってことは、ここで出逢ったみんなと…
ナギと…もう会えなくなるってこと…
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