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レンが戸惑ったまま…フユを受け止めていたが…
そこへ、やはりフユの様子が心配になったナギが探しにくる。
「…フユ、レン?」
ふたりの様子を見て…
ピタッと止まる。
その声に反応して振り返るフユ。
自分を追い出そうとするナギ。
まだ怒りがおさまらなくて…
「ナギなんか…ナギなんか嫌いだっ!」
レンに抱きつきながら勢いでフユはナギに言ってしまう。
「な、おまっ…」
ちょっと待てよ、と顔を歪めるナギ。
そんなナギとフユの様子を見て…
なにを思ったか、レンが動く…
不意にフユの頬に触れて…自分の方へ向かせ…
無防備なフユに口付けるように屈み、顔を近づける。
「っ…」
当然驚くフユだが…
レンの唇がフユの唇に触れる直前…レンは止まり、掠れた小さい声で…
「大丈夫…」
とだけ呟き…そのまま離れる。
「…オマエ、」
位置的にナギには二人がキスしているように見え…レンをいぶかしく見るナギ。
たかがキス…
ナギにとっては挨拶がわり…
しかし…それをしたのが自分ではなく…カタブツな双子の弟…
レンは遊びでキスするような奴じゃない…
なら、何の理由で…
思ったよりも衝撃で…
言葉が出なくなっているナギに…
レンは、フユを抱き寄せ、手話を交えてナギに話す…
「……やはり、ナギには…まかせて、おけない…しばらく、こっちで…あずかる…」
「…ちょ、待てよ…」
ちょっと焦ったようにナギは言い返そうとするが…
「いいか…?」
先にレンはフユに了解をとる。
優しく微笑むレンを見て…
逃げ場も欲しかったフユ。
こくんと頷いてしまう。
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