《ウラとオモテ》後編

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「……」 フユはそっとレンに近づいて…拳をつくるレンの片手に触れる。 はっと顔をあげてフユを見るレン。 「よかった…」 安心したように微笑んで、ぽつりと呟く… 「え?」 「レンは、ナギのこと嫌ってるわけじゃないんだ…」 そう、優しくきく… 「……」 「ナギ、レンに嫌われてるって気にしてたから…」 「…嫌ってるわけじゃ…ない、ただ…アイツには、アイツらしく…生きてほしいだけ…俺に、遠慮せず…」 「たぶん…ナギ、遠慮してるわけじゃないと思う…気になるんだよ、ほっとけなくて、二人だけの兄弟だから…」 自分にも解る感情… 親がなくて、弟と二人…支えあって生きてきたから… 少しくらい自分を犠牲にしても、ふゆきには幸せになってほしいと願っていた。 「……」 「レンがナギのこと、気にしてるようにナギもレンが気になるんだよ…」 「フユ…お前はいいやつ、だな…」 優しく頭を撫でて伝えるレン。 勝手に連れ込んだ自分の話しを聞いてくれた… 「そんなことない…」 ぶんぶんと首を振る。 復讐しようなんて考えていたんだから… 「…だから、ナギが気に入るわけだ…」 続けてそんなことを言うレン。 「えっ、気に入られてなんか…さっきもここから出ていけって…きっと、邪魔になったんだ、おれのこと…」 フユはやや心を沈めて…呟く。 「違う…ナギは、本当に大切なものは、軽く扱わない…追い出そうとするのも…大切だからこそ…」 レンはフユを見つめながら確信したように言う。 「なんで?大切なら一緒にいたいはずなのに…おかしいよ…」 フユの感覚ではわからない… 「ナギは、お前のことを、助けた…気に入ってるから…そばに連れてきた。けれど、ここに長くフユを置くことはできないから…」 レンは手話を交えながらゆっくりと伝える。
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