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「何かようか?」
真っ直ぐナギを見返して聞くレン…。
「……」
ナギは厳しい顔付きで、言葉は口にせず、レンへ手話を使って聞く…
(コイツのことが好きなのか?)
「……」
(好きだよ)
レンも手話で返答する。
嫌いではない…友人として、好きだから嘘ではないコタエ…
しかし、ナギの思う好きとは別もので…
同時にナギを試すコタエになる。
それでも、俺を優先するか…?
軽くかわして、逃げているばかりじゃ…本当に欲しいものまで見失う…
ナギ…どうする?
無言で視線を交わす双子…
緊張した空気…
フユは言葉をはさめるわけもなく、二人の様子を見ている。
「……っ、来い!」
不意にナギは動く…
フユの腕を掴んで連れていこうとする。
「えっ、」
フユは驚いてレンに視線を向けるが…
「……」
レンは優しく微笑んで二回頷く…
大丈夫…と背中を押すように…
「……」
なんだか怒っているようなナギに連れていかれて…
不安になるフユだが…
声もかけれなくて…おとなしくついていく…
ナギは真っ直ぐ自分の部屋へ足を進め…
部屋に戻ってナギは立ち止まる。
「……」
「…ナギ、手を放して…」
ぎゅっと握られた手首…
ちょっと痛くて、そう話し掛けてみるけど…
「……」
「…ナギ?」
「お前…いつから、」
「え?」
「いつからレンと付き合ってたんだよ、」
「え、付き合うって?」
「キスしてただろ、レンは俺と違って真面目な奴だからな、恋人以外とはしない筈だ…」
「……」
そう、レンは真面目な人、だから双子のナギのことも心配して…
でも…自分なんかがナギを変えれるとは思えなくて…
好かれてるって言われても…どのくらいの好きかも分からなくて…
わからないことだらけだから、レンにどうすればいいのか聞いてからナギと話したかった…
「…いつから付き合ってたんだ?どこまで、いってんだよ、お前ら…」
早口で問うナギ…
「待って、よくわかんないケド、何でナギがそんなコト気にするの?」
圧倒されながらも、ナギの気持ちを聞きたくて…
「それは、レンは俺の弟だし…」
「……」
フユはそれを聞いて、ナギの話の途中で掴まれている手を振りほどく…
(……ほら、レン違うよ…ナギはおれのことじゃなく、レンのコト心配してるんだ…おれは好かれてなんかいない…)
なんだか悲しくて悔しくなってきて…
「おい、」
ナギはもう一度触れようとするが…
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