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「やっぱそれか…ナンパは俺の人生の楽しみなんだけどなぁ…、人生初の試みになるけど、ひとりの人に集中する愛ってのも悪くねぇかもな、で、他には?」
「ほ、他に?…とくに、ないと思うけど…なんで?」
器用で、気も利いてるし、優しいし…
そう思いながら…
訳わからず首を傾げる。
「よぅし、なら俺は全力で今から、ナンパな性格を直すから、レンから俺に乗り換えねぇ?」
笑ってはいるがなんだか目が真剣なナギ…
「は?なに?」
言っている意味が理解できずハテナだらけのフユ。
「今すぐって訳じゃなくな、つってもお前がいつまでここにいれるか問題はあるけどな、」
「え…?」
「レンやめて、俺と付き合わねぇ?」
誘うようにナギは言葉にする…
「だれが?」
「お前、」
「…誰と?」
「俺、」
「……ええっ!?」
答を聞いて一瞬固まるフユだが…
ようやく理解して驚いてしまう。
ナギと自分が付き合う!?って恋人ってこと?
いや、ナギのことだから遊びのつもりなのかも…
フユは思いもよらない事に頭の中がさらに混乱してしまう…
「うわ、びっくりしたぁ…」
急に驚いたフユをみて、ナギも驚いている。
「か、からかってる?」
首を傾げながら怪しんで聞いてみる…
「…あのなぁ、からかいでこんなこと…あぁ、日頃のな、態度が裏目にでたって感じか…」
ちょっぴりナンパ野郎だった自分を後悔するナギ。
「見てみろ、」
そう言うと、ナギは握りしめていた両手を開いて、フユに見せる。
「…汗、」
そっと片手に触れながら…ナギをみる…
手のひらにはキラキラと光るくらい汗をかいている。
「俺が、今どれだけ緊張してるか…焦ってるか…どれだけ一大決心した告白してるか…」
「……」
その言葉にどきっとするフユ。
「冗談なんかじゃないし、俺は本気で…レンからお前を奪おうとしてんだよ…」
真剣に続けるナギ。
「え、まって…なんでレン?」
ナギの言葉がひっかかって聞き返す。
「付き合ってるんだろ?」
ナギは反対に問い返す。
「付き合ってないけど…」
首を傾げるフユに…
「は?じゃなんでキスしてたんだよ?」
驚いたように聞く…
「してないけど…」
フユはそんな事実はない、と否定する。
「いや、してただろ?」
ナギは納得いかず聞き返す…
「してないって、」
「俺は見たんだぞ、俺の目の前でしてただろーが、」
確実に見たわけじゃないけれど、レンからキスしていたはず。
だからこんなにも焦って…
「本当にレンとキスなんかしてないんだから…してないよ、」
してないものはしてない!ややむきになる…
「…あぁ、もう、らちがあかねぇ!いくぞ!」
くしゃっとフユの髪を撫でて立ち上がるナギ。
「…ど、どこへ!?」
「レンのとこ!」
そう言い終わるのと同時くらいにナギはフユの手を引きレンの部屋へ押しかける。
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