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「レン!」
開いていた部屋に二人して入っていくナギ。
「…ナギ、」
気付いて呟くように声を出すレン。
フユは状況がよく飲み込めず混乱したままだ…
「お前、コイツと付き合ってんだろ?」
直球に手話を交えながら聞くナギ…
「付き合ってはいない…」
首を振り、ゆっくりだが声に出して答えるレン…
フユも、うんうんと頷く…
「じゃなんでキスしたんだ、俺が好きなのか聞いた時も、お前、フユのこと好きだって答えただろ?」
「キスはしていない…あの時のことなら、キスじゃなく、顔を近づけて喋っただけだ…」
今度は素早く手話だけで伝え返すレン。
「んな、好きだっていったのは?」
驚き言い返すナギ。
「友達として、好き、と言う意味だ…勘違いしたのか?」
少し笑っているレン。
「ってめ、わざとか?」
手話を忘れて零れる言葉。
「ナギがなかなか、気付かないから…発破をかけてみた…」
双子の兄の言葉を読み取って、手話で言葉をかえす。
「ぐっ…くそーなんか悔しい!」
計られたのがなんとなく悔しくてじだんだを踏むナギ。
「気付いたみたいだな…」
柔らかく笑って伝える。
「…っ、たく、よけーなお世話なんだよ、」
照れ隠しなのか、少し辛口な言葉を呟くナギ。
「アンタの諦める姿は…もう見たくなかったんだ…」
優しい雰囲気のまま伝える。
「レン…」
「…この耳が悪くなったのも、お前のせいじゃないし…俺はお前に見てもらわなくても生きていける、今が幸せだ…だから、今度はナギが自由になる番なんだ」
「俺は…」
「フユと一緒に、自由になればいい…」
付け足すように言うレン。
「…それは、ここを出ろって意味か?」
「……」
静かに頷く…
「フユはここにいたら、いずれは性優に仕立て上げられる…だから逃がしたい…」
ナギは手話で本心を伝える。
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