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「やっぱりSiさんはいい人ですね」
「ぐぬぬ……」
「まあ、でもあなたがそんなに盗みたいって言うなら協力します」
珍しいイレブンの純粋な好意にトゥエルブは心の涙を流す。
「Siさんに九日後には帰っていると伝えておけば、しばらくガラス玉は彼の家にあるでしょうね」
「確かにな……それでも、もう盗みに行かないとな」
「予告状はどうするんです? もう出してきたのでしょう?」
確かに予告状を出して戻ってきた矢先にエルド家へ予告状だけまた出しにいくのもつらい。
トゥエルブは仕方なく、エルド家へ予告状をメールで送信する。家主のメールアドレスなど、怪盗にかかれば即座にわかるのだ。
予告状が送信されたのを確認してイレブンは不思議そうな顔を浮かべた。
「ところで一つうかがいたいのですが、何をそこまで焦っているんです?」
しばらく考え込んだ後に、トゥエルブは口を開く。
「それはだな……」
後に続くトゥエルブの言葉に、イレブンのただでさえ白い肌が幽霊のように青ざめた。
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