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 ブラックホールは重力や質量、その他多くの要因が重なってできるが、実はあのガラス玉の能力のせいでできてしまったブラックホールも多い。今までは地球から遠いところにできていただけで、一歩間違えずとも地球破壊兵器になりえる。  そして、ブラックホールはその理論上一度そこにできれば、二度と終息することはない。  トゥエルブ御用達の水晶が、そんなガラス玉を『盗まないと』世界が滅びると予言を出した。  なんでもそのガラス玉が売買されるたびに、ブラックホールが出現するらしい。  ふざけていると思いつつもあまりに危険なので助手にその脅威を黙っていたら、こんなことになった。  この様子だと、持ち主もただのガラス玉だと勘違いしている可能性が高い。トゥエルブは頭痛をおさえて聞いた。 「なあ、まだオークション終了まで時間はあるよな?」 「いえ、即決価格6000円でした」  またトゥエルブの視界が歪む。ケイソもそれなりに稼ごうとするんじゃねえ! 「……出品者とのやり取りはできるな?」 「はい、できますよ」 「とにかくやり取りで面倒な落札者を装ってくれ。それで時間を稼いで───」 「ダメですよ。ちゃんとトラブルにならないよう、やり取りできる回数も決まってるんです。それにさっきも言いましたが、昔からやり取りしているので嫌な印象は」 「だったら、いい! 俺様が出荷を遅らせるそれっぽい理由を書いてやる!」  Siというケイソのハンドルネームを取引一覧から見つける。そこにトゥエルブはイレブンことノウェンベルになりきって書き込む。 『こんにちは。Siさん、素敵なガラス玉が落札できてうれしいです。ただ、急用が入ってしまって一週間ほど家をあけることになりました。発送を遅らせてもらえませんか?』  そう送ってみると、一分後に返事が帰ってくる。 『ノウェンベルさん、今回も落札ありがとうございます。Siです。入金確認から三日以内に手続きをして、一週間ほどでお届けしないといけないので、そちらの入金を遅らせるという手もあります。ですが、ノウェンベルさんはクレジットカード決済なのでそれはできないみたいです。いつも落札してくださいますし、よろしければおうちにいる時間を教えてくだされば、極力指定日にお届けできるように手配しますよ!』  Siさんの丁寧な対応にイレブンは好感を覚える。もっともトゥエルブにとってはお宝を売りに出した敵でしかないが。
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