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本日二度目の予告状をお受け取りください
「参ったぞ……」
エルド家の主人、Siことケイソは焦っていた。あの怪盗トゥエルブがエルド家のガラス玉を盗もうとしている。
おじい様が買ってきたガラス玉だが、ケイソに価値は一切わからず、おじい様の死後も何となく飾っている状況だった。
そんなモノのために警察と相談して変におおごとにしたくない。
それでいっそのことと思いガラス玉をハマっているフリマアプリで売ったら、怪盗からクレームまがいのメールが届いた。
追加の予告状は怪盗らしいきらびやかな書かれ方をしているが、中身を要約すると「人が盗もうとしているものを売るな! そんなんだったらもうさっさと盗んでやるからな!」という言いがかりも甚だしいものだった。それでもケイソは焦る。
自分がオークションに出品したことと、自分の仕事用のメールアドレスを怪盗がどういう訳か知っている。
そして落札したノウェンベルさんが急な用事で発送を遅らせろと言ってきた。ただ、この人はいつもと口調が違うような気もする。
こんなことなら捨てるか怪盗にあげれば良かった。でも、ノウェンベルさんは待ってくれているんだよな……ケイソはノウェンベルとの今までのやり取りを見返す。
警察にこの事態を届ければガラス玉は没収されてしまうだろう。それは、ダメだ。できればノウェンベルさんに届けたい。
とりあえず発送のために梱包だけはしておこう。あのガラス玉が存在する部屋に向かった。
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