12人が本棚に入れています
本棚に追加
「結局自分も乗ってるじゃん」
ボソッと呟く香織に、恒樹は思わず吹き出した。
「ごめん。もしかしてさっきの言葉、気にしてる?」
笑い混じりに謝る恒樹の様子に、香織の頬は膨れ上がる。
「全然」
恒樹はツボにはまったのか、ひたすらに笑っていた。
呼吸が整うと、すっと立ち上がり香織の方を見る。
「俺、音大受かったよ」
しばらくの沈黙の後、俯いたままの香織が口を開く。
「…いつ、引っ越すの?」
「2週間後。もう部屋も決めてるんだ」
「そっか」
二人の間に長い沈黙が訪れる。
その沈黙を打ち破ったのは恒樹だった。
最初のコメントを投稿しよう!