1話 ○と罰

5/5
前へ
/6ページ
次へ
___もういやだ、もういいや____ 暗がりの道を、力のない街灯がポツポツ照らす。 健太は家に帰ることを躊躇するようになっていた。 あてもなく歩いては座れそうな場所を見つけて腰を落とし、 何をするでもなく息をつく。 初めて感じたのは苛立ちだった。 そして戸惑い、恐怖に変わり、胸を刺す痛みを繰り返し与えられた。 それでも尚続いてくると、惨めに感じるようになる。 ____なんで自分が、こんな目にあわなきゃいけないんだ____ 強く瞑った瞼の中で、1人の少年が立っていた。見覚えがあった。 そうか、お前か____お前が_____ 許しを乞う。____俺が悪かった、俺がバカだった_____ 言い訳をする。____でも俺だけじゃない、あいつも一緒だった_____ 誓いを立てる。____もう二度とこんなことしない、だから______ 強く瞑った目を開ける。目頭が熱い。 目の前には、確かに誰か立っている。滲んで見えない_____
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加