春のおわりに

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 『恋に理屈なんていらない』 冷静沈着、理路整然の直隆にも そう考えていた頃があった。  ー 相手に恋人がいる ー  ー 片想いだから ー 年上?先輩の彼女? 諦める理由としては弱い。 けれども、真っ向勝負で 挑めるほど、直隆は自分に 自信があるほうではなかった。 中学時代から告白されることは しばしばあったけれど タレントスカウトの噂すらあった 絢に告白出来る勇気はなかった。 けれども諦める勇気もない。 ここが理屈ではないのだ。 ただ、見ているだけ、 恋する気持ちだけは 理屈には収まらなかった。
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