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やがて絢と大介は卒業、
同じ教育大に進学した。
OBとして母校を訪ね来る二人に
軽い嫉妬を覚えながらも
直隆は絢に会いたいから
生徒会室には必ずいたし、
卒業して国立大学の法学部に
入ってからも
OB会には漏らさず参加した。
一途な直隆に幸運が訪れたのは
二十歳の秋・・・
「あれ?生嶋くんの家、
荻窪だったんだ」
駅前で絢は直隆の名を呼んだ。
「え?絢先輩、どうしてここに」
「ふふ、アルバイト、そこの
コーヒーショップ。バイトでも
転勤があるのよ。
荻窪駅のオープンで配属されて
きちゃったの」
その言葉が、直隆を
朝に夕にと、そこへ足を
向かわせないことなど・・・ない。
絢のバイト帰りには
彼女の家まで送ることも・・・。
ちょうどその頃
絢の恋人・大介は修士課程への
進学に追われていて
すでに中学校教員に職が
決まっていた絢とは
あまり会えずにいた。
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