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直隆にしてみれば
有頂天な日々だった。
絢のバイトが終わるまで
コーヒーショップで
レポートなどを書いて過ごす。
それから覚えたての運転ながら
父から借りた車で絢を送る、
ときには遠回りして・・・。
あの夜も
「海が見たいなあ・・・」
絢の何気無い呟きに
直隆はすぐにハンドルをきった。
(少しでも絢と一緒にいたい)
その気持ちだけで・・・。
人のいない江ノ島海岸。
二人で波を追う夜更け。
「大介くん・・・論文がうまく
通らなくて・・・
焦ってるみたい・・・」
寂しそうな肩に
直隆が両手を置くと
絢が振り向いた。
恋する女の瞳に
直隆の辛抱は利かず・・・
・・・唇が重なると
理性など暗闇に消え・・・。
それは絢も同じだと
直隆は確信していた。
細い腕は確かに
直隆を求めて背中を
もがいていたのだから・・・。
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