春のおわりに

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女の身体の匂いも 女の陰の溜め息も 直隆には全てが初めてだった。 憧れ続けた女の神秘が 萎えることなく直隆を 高揚させていた。 おそらくは大介と覚えた であろうと嫉妬させられる 直隆の “知らぬ絢” に 翻弄され続けた。 あるときは聖母の手解き・・・ あるときには娼婦の淫行・・・ 高波に溺れる直隆が 深く嵌まれば嵌まるほど 悦楽は独占欲を沸騰させる。 頭から絢がなくなることは 一秒たりともなくなって・・・ 二人を巡る友人も、信用も 全て無くしても絢だけを獲たいと 直隆は思い詰めるまでになっていた。
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