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【 side ヒョンジュ】
ヨンにキスをされた。
どうゆう間違いをしたらキスをしてくるのだろうか…
寝ぼけてわしゃわしゃと頭を掻きまぜられることはあったのだが今日は俺の胸元を引っ張り自分からキスしてきたのに何故か驚いたように突き放すと「間違えた」と言ったのだった
このヨンという青年は施設が売人を捕まえるためにやっとった獣人であった。上司から人間を保護したときと同じ扱いをという指示だったのでマニュアルどうり共同生活を送ることになったのだが…
今まで施設外で働いたことのないヒョンジュには男のやることが意味不明なうえ行動が読めなくて困惑するのだった。
容姿だけは人間にちかいヨンは部屋以外ではつねに車椅子をつかい行動をともにするヒョンジュに押させて移動するのであった。
そして午後のある時間になると必ずヒョンジュに15分だけ1人にしろというのであった。
彼が何をするのかと言えば1度だけ遠くから見ていたことがあるが特に変わったことをするのではなく飲み物を飲んで本を読んでいるだけに見えた。
だからヒョンジュはずっと一緒にいる生活だから1人になりたいのだろうと考え本当の人間であればそれは許されない行動なのだが獣人の彼ならばと見過ごしたのだった。
そして彼は人間が保護されたときの疑似体験がしたいと言い出したので人間にやってもらう髪留め作りなどをさせてみたのだった。
「さすがだな器用だ。」とヒョンジュが褒めれば顔を赤くしたヨンが「これくらい誰でもできるだろ」と言っていたが獣人の指は太くこうゆう作業にはむいてないのが大半でありヒョンジュの指も太いので彼ほど上手くは作れないのだった。
「あっちの建物は?」と窓から見える建物を指さすので
「準絶滅危惧種のウサギたちが暮らしている。
子供の1人が行方不明で捜索隊もだしてるが見つからなくて皆がピリピリしてるから近づくかないでくれ。たしかあの子もお前と同じ人間の容姿にちかかったな。」
子供は騙されやすいし外への憧れがあるのだろう。
売人は言葉たくみに甘い言葉で誘惑をかけ外の世界へ誘導して外にでたところで捕獲するのだ。
「人間もウサギも犯罪に巻き込まれやすいしな。俺もこんな見てくれだから何度かさらわれたこともある。」とヨンが何気にいったのだが
日常生活を送っていてそう何度も攫われる経験など普通はないはずだ。
彼の言葉に顔をしかめれば「ヒョンジュがそんな顔をする必要はない。けど、ありがとな」と笑って言うのだった。
ヨンを知れば知るほど分からない…どうして過去とはいえ辛い目にあってもあんなふうに笑っていられるのか。ヒョンジュは施設で売人が現れたならヨンを絶対に守りとおすと誓うのであった。
こうしてヨンとの生活は順調に進み一緒にいるのが当たり前になり寝るときの裸にも動揺しなくなった。ヒョンジュは裸でねる習慣など聞いたこともなかったので驚いたのだ
そしてヒョンジュは朝のヨンのキスにも慣らされてしまいヨンはもう「間違えた」とは言わなくなった。
ヒョンジュはヨンと話していると心が落ち着く。
行方不明のウサギのはなしを真剣に聞き逃げ出したのかもしれないとヒョンジュが言ったときも
「安全で窮屈な生活か自由で危険な生活か、選んだのは自分自身だろ?外にでれば嫌でも学ぶさ。大人になればここでの生活がいかに恵まれていたのかも分かる。そこまでヒョンジュたちが背負うことはないさ。」と言っていた。
それにヨンは経験したことのない話をおもしろおかしく話してくれて楽しいという感覚をわすれそうになっていたヒョンジュの表情を緩めさせるのだった。
この施設で働くにあたって感情を殺す訓練などもさせられ、それはどんな状況でも冷静に動けるようにであり必要なことだったのだけれどヒョンジュの表情が固くなった原因でもあった。
そんなある日、ヨンを例の15分後に迎えにいけば数人の男たちと乱闘中でありヒョンジュと目が合うと安堵の表情をうかべるのだった。
すでに1人は床で伸びていて残りの3人を相手に後ろから羽交いじめにされればそれを利用して目の前にいる敵の胸を蹴り反動をつけて押さえつけてる男の両肩にそれぞれの手をつきバク転をして拘束をとく身軽なアクロバティックな戦いをしていた。
ヒョンジュもヨンの背を守るように立ち近づいた1人を容赦なく投げとばしそのまま流れる動きで別のヤツの首を絞め落としたのだった。
見ればヨンも残りの1人を回し蹴り倒したところだった。
そしてヒョンジュを見て「職員のジニョンを捕まえて!!」と叫んだのだった
こうしてよく分からないままジニョンを含む売人4人とを捕まえ施設の上司や警察などを呼びヨンは事の顛末を話すのだった
「どうしてジニョンが?」と上司がきけば
「俺はセキュリティの万全なこの施設からどうやって攫うのかを考えて内通者がいるんじゃないかと思ったんでヒョンジュに協力してもらって1人になる時間をわざとつくり接触者を待ってたんです。そしたらジニョンさんが俺に話しかけて……」
最初はたわいのない話をしていて数日後には不自由をしてないか欲しいものはないかと聞かれた俺は退屈をしていると答えたらコレを渡されました。
と小瓶に入った錠剤を振って見せ「友人に調べてもらったら依存性のある物質が入ってると言ってました」だから依存してるフリをして売人が来るのを今度は待ってたんですが思いのほか動きがはやくて危うく攫われかけましたと締めくくったのだった。
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