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「えっ?ちょ、なに?何で怒ってんの??」
説明が終わって部屋をでるとヨンの腕をつかみ引きずるように共同生活していた部屋へと連れこむと扉を閉めヨンを力いっぱい抱きしめた。
「…無事でよかった」と声が震えそうになりながら言うヒョンジュを
「一発顔を殴られたけどな」とヨンがヒョンジュの背中を安心させるように何度かたたいて言った。
ヨンの顔を片手で持ちあげれば切れた唇の端が赤くなり少し血がでていたので顔を横むかせてヒョンジュは唇の端を舐めそのまま唇をふさぐのだった。
*******
どうして車椅子での生活だったのかとヒョンジュが疑問を口にすれば
「俺以外をターゲットにされると困るし足が悪ければ逃げられる心配がないから狙われやすいだろ?売人は弱者をねらうからな。手引きしてたジニョンだってもとはいい職員だったのに心が弱いから売人につけこまれた…」
俺には売人が来ることを話してほしかったと言えば困ったような申し訳なさそうな顔でヒョンジュをみて
「俺は今までは自分1人でやってきたから誰かに助けてもらうってことが思いつかなかった。」といったのだが……それを聞いて胸が苦しくなった。
誰かを頼ることができない寄る辺のなさに。
せめてこれからは彼に頼られ支えられる存在になりたいと思ったのだった。
「あのなヒョンジュ1個だけ謝ることがあるんだ」
といったヨンは怪訝な顔をする俺に1枚の名刺を渡した。
「何でも屋?」
「いや、そこじゃなくてその下……」と気まずげにいうヨンは
「テファン?」とヒョンジュが首をかしげれば
「うん。それ俺の本当の名前」
ヒョンジュの唖然とした顔にキスを1つすると
「また会いにくるから許して?」と可愛らしく笑ってテファンがいうのだった。
了
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