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-side Naoー
フロントラウンジに戻ると彼女はすでにラウンジから出ていた。
エレベーターから降りようとしたらおばさんがこちらをみてきゃあきゃあ言っている。
よくあることと思って気にせずに彼女に声をかけて話していたら夫婦かな?という声が聞こえた。
そうみえるんやとちょっとうれしくなって彼女にこれから夫婦のデートみたいにしようと提案し、彼女の腰に手を添えてエスコートしてみた。
ふんわりといい香りがした。
思わず抱きしめたくなる気持ちを抑えながらエスカレーターに乗るとつい寄りすぎてしまったようで近いと言われた。
金曜日の夕方のN駅付近は人でごった返していて正面から急ぎ足で歩いてきた男性が彼女にぶつかりそうになったので思わず回した手を引き寄せた。
声をかけると目の前に彼女の顔があり、彼女の胸の膨らみを感じて慌てて少し離れた。
けれど商店街は混んでいて、何度となく彼女が誰かとぶつかりそうになるたびにそっと引き寄せた。
ふと嫁さんにこんなことしたことあったっけと思ったのだけど、たぶんしたことなかったなと思う。なんでこんなふうに自然にできたのか自分でもよくわからない。だけどそうして歩きながら話しているのがだんだん普通になっていた。
商店街の中にある大きな雑貨屋にいこうということになってはいると来年の手帳のコーナーが充実していた。
まだ購入していなかったしちょっと見たいなと思い声をかけたら彼女も気に入るものがあるか見だしたのでいろいろみながらこだわりについて話たりしていた。
彼女が気に入ったものをみつけたようだったのでせっかくだからプレゼントしようとさっとそれを奪った。
再会のシルシとこっちに拠点をおけるようになる願掛けーー
もっともらしい理由をつけて。
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