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『麻里奈ちゃん、お店にはいったけどどこにいてる?』
彼の声を聞いただけでまたドキドキしてきた。
「今、奥のレジにいるよ」
『俺もちょっと買い物するから店の前で待ってて』
「うん、わかった。」
受け取ったアロマオイルをカバンの奥にいれてからゆっくりとお店の入り口に向かう。
途中でお店の中央のレジで会計をしている彼の後ろ姿をみつけた。
だけど、そのままお店の入り口にいってお店の前に並んでいる商品をなんとなく眺めながら彼を待った。
西川君はすぐに出てきた。
『ごめん、待ったやろ?』
「ううん、大丈夫。けっこういろいろ買っちゃったけどね(笑)」
『何買ったん? あれ?なんかいいにおい。なんかつけた?』
「あ、ごめん、この匂い大丈夫?」
『うん、めっちゃいいにおい。』
「よかった。さっきアロマオイルが売ってて香りを確認できるボトルがあったからあけてにおってたからちょっとついちゃったかも。こういうのって嫌いな人いてるから気をつけなあかんの忘れてた・・・・」
『ぜんぜん大丈夫やで?このにおいは好きかなー』
西川君はデートもどきの時みたいにスッと私のそばにきて腰のそばに手をおいた。
・・・ごめん。香りはわざとつけたんやけどね・・・・
『さて、どうする?ちょっとのみなおしに駅近くまで戻ってBARにでも行く?知ってるところあるねん。』
「うん、それでいいよ。」
やっぱりめっちゃ近いんですが。
ひだりの瞼に彼の息がかかっているんじゃないかと思うくらいで。
ものすごくドキドキしているけれど、なんともないフリをした。
顔をあげるとぶつかってしまいそうなくらいで。私の左肩は彼の胸のあたりにある。
少し首をひねってからみあげるように彼の顔をみようとしたのだけれど
近すぎてみえにくい(笑)
『さっき麻里奈ちゃんが歌ったのって3曲ともタカのリクエストやろ?』
そうそうと思い出したように西川君が話し出した。
「うん。勝手にいれてた・・・」
『フレンズ、なつかしかったなぁ~』
「今はめったにカラオケでも歌わないんだけどね・・・・」
『ドリカムはよく歌うの?』
「うん、昔会社の人とよくカラオケいっててリクエストされてからドリカムを聞きだしてんけどね、歌いやすいからけっこう歌うかなー」
『そうなんやー。松田聖子はモノマネうまかったね』
「あれね(笑)」
・・・・それぞれの歌詞がね、気になっちゃって大変だったんだけどね・・・
「それより、西川君がT-BOLAN歌うとは思わんかったー」
『あー、あれな・・・・』
西川君の次の言葉をまっていたのだけれど、そのままちょうどN駅のそばまできてホテルの入り口を右に見ながら路地にはいった。
路地にはいって3軒目にある小さなBARの前で西川君はとまった。
『ちょっとまってて。』
彼はドアをあけて中に向かって声をかけてすぐに出てきた。
『あいてるみたいだし、ここでいい?』
「うん。」
ジャズが流れていていい感じの雰囲気のBARだった。
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