重なり合う気持ち

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少しふざけた話をしながらも、業界の話や今パートに行っている会社の話をしたりしていた。 マスターを呼んでそれぞれ2杯目を頼んだ。 西川君は同じジントニックを、私はボンベイサファイアをロックで注文した。 「冷凍のボンベイにします?」 マスターが聞いてくれた。 「冷凍のあるんですか?じゃあそれでお願いします。」 「ライム絞ります?」 「お願いします。」 西川君がそのすっかり常連みたいなやりとりに苦笑していた(笑) 『麻里奈ちゃん、俺がいない間にめっちゃ通いそう』 「えー?わざわざ出てこないといけないからそんなには来ないと思うよ?」 『そう?でもダンナさんとはここにはこないでほしいな。』 西川君がマスターに聞こえないであろうくらい小さい声で言った。 えっ?なんでまた(笑) でも、こういうお店は飲めない武志さんと来るつもりはない。 「それはないなー、飲めない人ときても楽しくないし。」 『それならいいけど。』 マスターは私たちから少し離れたところでジントニックをつくってもってきた。 「おまたせしました。ボンベイめっちゃ冷たいから気を付けてくださいね。」 私にそういうとグラスも冷やしてあったものをコースターの上においた。 「うわ、めっちゃ冷たい(笑)」 グラスを持つと冷え冷えで気持ちいいくらいだった。 マスターは私の反応に満足そうににっこりと微笑んでから言った。 「おねえさん、西川さんいなくてもたまにはぜひ来てくださいね。」 「ありがとうございます。はい、また寄らせてもらいますね。」 西川君はやっぱり来るつもりなんだとブツブツ言っている(笑) 来るとしてもきっと一人で来ると思うけどなー お互い新しくきたものを一口のんで私はその冷たさと香りに浸っていた。 トロトロのリキュールは口の中で体温に触れて初めて香りが広がる。 いろんな薬草系の香りに癒されるのがたまらないのだ。 『ねぇ、やっぱりこっちに拠点置きたいしそうなったらウチに来てくれる?麻里奈ちゃんと一緒に仕事したい。』 西川君は急に真顔になって言った。 真面目に返事をしなければ・・・ 「そうやね、ダンナさんのOKもらえたらね。だから本決まりになった時に気が変わってなかったらちゃんと誘って?」 そう言って一口飲んだ私の顔を西川くんは覗き込んだ。 うわ・・・近いっ・・・ 『わかった。そうする。仕事の誘いはね・・・・』 え???? その瞬間に西川君の唇が私の唇に重なった・・・・
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