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重ねられた唇は軽く開かされて深いキスにかわっていく。
マスターはテーブル席側にいてここからはみえない。
むこうからもこちらは今みえていないはず。
私たちがどういう関係だろうと、マスターは何もいわないだろう。
カウンター側の席にはだれもいない。だから西川君はキスをしたのだろう。
どれくらいしていたのかはよくわからないけれど・・・
そっと唇が離され、一瞬ぎゅっと抱きしめられた。
『部屋いこっか・・・・・』
今、ここで思いとどまることもできたのに、私はそれを選ばなかった。
「うん。。。」
お互いグラスの中に残っていたお酒を飲んでから西川君がマスターに声をかけて何事もなかったように会計をしてお店を出た。
西川君が全額払うと言ったけれど、ここは自分の分は自分で払うと言い張ってマスターに笑われながらお会計をした。
お店を出たところで西川君は昼間のように腰に右手をまわして歩き出した。
彼の宿泊するホテルは目の前で彼はすでにチェックインもすませていてカードキーを持っている。
なのでそのままエレベーターに乗り込み部屋に向かった。
もうここまできたらシてから考えればいい。
彼がどんなタイプなのかわからないし。
あわなければそれなりの対応をすればいいだけだし・・・
と思っていた。
運命の歯車が回りだしたとも気づかずに・・・・・
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