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テレビには、雲の発生している場所を示すMAPが大きく映っている。
僕は自分の住んでいる町、神戸のMAPに目を移す。
兵庫県北部に多かった雲が、今日は南部にも多く発生しているようだ。
テレビは、外出は控えるように強く伝えている。
母が「いやねえ、この辺りも雲が多いみたいよ」と愚痴を零す。
父が「俺は仕事に行かなけりゃならんが、買い物は行かない方がいい」と母に言った。
「食料品は、買い溜めしているから、今週は大丈夫だけど」
父が携帯の画面を見ながら「電車は無理みたいだな・・動いていない」と言った。
父は会社に電話をかけ、すぐに在宅勤務の指示を受けた。
そして、僕の顔を見て「達也も学校は休校だろ?」と言った。
父の言葉と同時に、僕の携帯に高校からの一斉配信のメールが届いた。
「休校になった」と僕は両親に伝えた。
学校が休校になって、授業を受けられず、不満を言う生徒もいる。またその逆に授業をさぼれる、と喜ぶ連中もいる。
そして、僕は喜ぶ側の人間だ。
だが、その理由は、授業云々の理由ではない。
ただ、学校という場所に行きたくないのだ。
学校、又は登下校の際に会いたくない人間たちがいる、それだけの理由で学校には行きたくない。
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