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リュックサックを背負って会社を出ようとすると、入れ違いでこの会社フリークスタンダードの代表取締役、高岡祐輔が入ってきた。
「おお、成澤はもう上がりか。仕事が早いね」
「おかげさまで。お先です」
「ちょっと待った」
通り過ぎようとすると、リュックサックを引っ張られ優月は振り返った。
「え、なに」
「あれてるな、少年。このあとの予定は?」
「いろいろ」
「むしゃくしゃしてるときの避難場所だった『まきちゃん』は、海外転勤でいないんだろ?」
黙り込むと、高岡は優月の頭に手をのせて、髪をくしゃくしゃにした。それから、財布の中から名刺サイズの紙を一枚引き抜いて、渡してきた。
「なにこれ」
ショップカードだ。オーセンティックバー・アミーカという文字が見えて、優月はげんなりした。
「えー、俺もう帰りたい」
「たまには付き合えって。先行ってて。ちょっとまだやることあるから」
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