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場所知らねえし。つぶやいた頃には、高岡はもうそこにいなかった。振り返ると、社員に声を掛けながら進捗を確認している。以前なら神長が各チームの状況を管理し、サポートしていたが、今は他にそれをできる人間がいない。
(高岡さんじゃぜんぜん神長の代わりになんないし。つうか、あいつの代わりなんてどこにもいない)
普通の方法で上手くいかない何かがあっても、別の引き出しから原因を見つけるのが神長だった。
プログラミングには数理的素養がずば抜けているからこそ見える世界というものがある。教えられたときには「ああそうか」と毎回わかった気になるのだが、凡人にはその蓄積も応用もできないたぐいのものだ。
神長さんだったらすぐなのに。そういう雰囲気は、高岡も痛いほど感じているだろう。
わかっていても、そうするしかないのだから、高岡もきっとつらいのだ。
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