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私こと二戸 陽がこの部屋を訪ねたいきさつはこうだ。
昔、ある苦い経験により今まで『恋』というモノに積極的になれずにいた私。
だけど、この津々賀学園に入学が決まり、地元からも離れた学園ということで、思い切って新しい自分を表現してみよう! と、決意した。
入学式から一週間経過し、それぞれが段々と学園生活に慣れてくるタイミングで行動に移り始める。
私も例外ではなく、まずは、過去の想い出を払拭するために何か部活動的なモノにでも入りたいなどと思っていると、この意味不明なチラシが視界の端に入ってくる。
『恋研 あなたの恋を研究して応援します!』
如何にも怪しげな内容であるうえに、他の部活や研究会と違い。
白地の紙に、この文章だけ書かれていた。
少しは絵や活動内容などを記載してもよさそうだが、それでも、私の脳裏から消えることはなく、また自分の過去と向き合うよい切っ掛けになれればと思い、様子を見るために尋ねてみることにした。
「うわぁ、旧校舎って遠いんだね」
「うん、遠いね……」
隣を歩いているのは、この学園に入ってすぐに仲良くなれた南部 晴香。
席が隣とか、何かのグループが一緒など、別にそういったことには関係なく仲良くしてくれている。
お互いの共通点としては、地元から離れており、他に知り合いが居ないというのは、大きな話の取っ掛かりにはなっていた。
私よりも大きくて、スタイルもよい晴香、性格もサバサバしていて、すぐにクラスの人気者になれたのに、中々輪に混ざれない私によくしてくれている。
「でも、晴香が運動できないって意外だったな」
「そう? よく言われるけど、本当に無理、キャッチボールして全力で真後ろに投げられるって自慢になると思う?」
渇いた笑みを思わず浮かべてしまう。
だから、今日はお互い前々から目をつけていた文科系の部活か研究会を尋ねにこうして旧校舎へ来ていた。
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