第一章 始動! 恋愛研究会

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 勇気をもってノックしたのに、なぜこの状況になっているのだろうか?  目の前には本を片手に意味不明な発言をした男性と、目をキラキラさせながら私にお茶を淹れてくれる女性。  どちらも、凄く整った顔をしていた。  男性のほうは、少し癖の強い髪質をしているが、鼻も高くキリッとした瞳が印象的な人で、この人は確実に【イケメン】と呼ばれる分類である。  それと、女性はまっすぐな黒いセミロングの髪に夕日が映り、凄く艶のある感じがした。  それに、少しだけ下がった目尻と、小さな口の左端にポツリとあるホクロが、可愛らしい顔と大人な感じが混ざったような感覚がして、アンバランスだけど素敵な人であるのは間違いなかった。 「ねぇねぇ、名前は?」 「え、えっと、私は二戸 陽って言います」 「ヒナちゃんね。私は三年の矢島(やしま) (つぐ)って言うの、そしてあの本を読んでいる変態は、同じ三年の一関(いちのせき) (さとる)って言うんだけど、誰にでもあんな感じだから気にしないでね」  そう言ってニッコリと微笑んでくれる先輩に、ドキドキしてしまう。  最初から私のことを『ヒナちゃん』と呼んでくるあたり、気さくな人なのだろうか? 悪い気はしないし、ずっとヒナと呼ばれてきたので、違和感はない。   「それで、もしかして、恋研(ウチ)に興味があって来たのかな?」  満面の笑みで近づいてくる。 グッと顔が迫ると、少しだけ桃の香りが漂ってくる。   「は、はい、少し興味がありまして」    今までの勢いに戸惑う場面はあったけれど、自分を変えるために今日は来たのだから、このまま引き下がるわけにはいかない!  ちょっと、いや、かなり不安要素しか漂っていないが、矢島先輩はまともそうに思えた。 「やったぁ! 良かった。 これで無くならなくてよくなるよ」  無くなる? 不安要素から不穏要素に切り替わる。 「あのね。本当は、この研究会、えっと、恋愛研究会って言うんだけど、私と覚が立ち上げた研究会なの、でもね。一年のときから活動をしているだけど、今の今まで誰も入りたがらなくて」  あぁ、なんとなくわかる気がする。 
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