お客さんとお酒飲んだりお喋りするだけの簡単なお仕事

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 だがしかし、何とも運の悪いことに今年に限って世界中でとても感染力の強い新型のウイルスが大流行。既に世界で何十万人も死者を出しているタチの悪い感染症のせいで、今は飲食店も本屋もカラオケ屋も工場も、どこもかしこも休業中なのである。  おまけに玲香が頑張って入った大学も授業を停止している状態だ。  大学の授業料に関しては一定期間免除との正式な(しら)せが届いたものの、それはそれとして生活費は自分でどうにかしなければならない。  ……のだが、先のバイト先を追われて以降、毎日のように求人サイトを眺めていてもなかなかいいバイト先は見つからない。  玲香は苦学生だ。  一人暮らしをするにあたって、実家から持ってきたお金はあまり多くない。  上手く貯金を切り崩してやり繰りしても、今の状態では今月いっぱい(しの)げるかどうかといった有様である。  (ここまで、なのかな……)  先ほどよりも更に日が傾いてより赤色が強くなった夕日の下。片手に買い物袋を下げながら、うっすらと涙が滲んだ瞳でスマホの画面に目を落とす玲香。  これまで気丈に頑張ってきたものの、いよいよ崖っぷちに追い込まれ、残酷な運命に屈しそうになった……その時。  「……えっ」  ふと、玲香はそれを見つけた。  「これって……」  思わず声に出しながら、玲香はスマホの画面をぐっと顔に近づける。
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