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苦しい
息継ぎするように上空を見上げる。
そこに広がっているのは透き通るような青さ。
途端に自分がちっぽけに思えて悔しくなった。
どうして俺は最後まで素直になれなかったんだろう。
まだ間に合うぞ、ともう1人の自分が問いかけてくる。
でも一歩も動けなかった。そんな自分が情けなくて仕方がない。
その時、ポケットが震えた。汗を拭い、息を整えてそっとそれを取り出した。
『ちゃんと受け取ったぞ』
それは君からのメッセージ。そして添えられた1枚の花の写真。
俺はこの花の名前もその意味も知っている。
本当はこの花を君に送りたかったんだ。
……どうしようもなく情けねぇな、俺。
最後まで君に背中押してもらってさ。
……ちゃんと伝えなきゃ
俺は拳をぐっと握りしめる。そして一つ息を吐き出してから、くるりと反転して君の元へと駆け出していった。
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