round 2×「トイレの取り合い」

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……と思っていると二階からドタドタドタドタと激しい足音が降りてきた。 「俺が一番だからなっ!」 ジローのでかい声が試合開始の合図。 「おい、待て、ジロー」 「いや、僕が先だって〜」 ジローに続いて、ハジメ、サブローも、ドタドタドタドタ、と足音を立てて降りてきた。 「ジローのトイレは長すぎ。俺はすぐだから先に行かせろ」 「ハジメにいちゃんはそう言いながら、いっつも長いよ」 「うるさいっ! おれが一番だぁ!」 「僕は早いから、たまには弟に譲って」 「サブローには騙されないっ! おれが一番だぁぁぁ」  3人は声を上げながら廊下を走り去った。私は人参を食しながら観察する。  佐藤家バトルロイヤル開始。 朝のお馴染みの風景。トイレの取り合い。さて、誰がトイレに入れるのか。 試しに今日も3人に声を掛けてみる。 「トイレは順番よー! 走ったら危なーい。お姉ちゃんの言う事を聞きなさーい!」  誰も振り返らず、返事もしない。やっぱりカメ語は通じない。およよよ。  残念、無念。ドンマイ、自分。
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