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「リモコン貸せよっ!」ジローのでかい声でいつも試合は開始される。
……今日もまた始まった。
我が城から、3兄弟をみる。
3兄弟は各々に目から火花を飛ばし合い、睨みあっている。ハジメが握っているリモコンに3人が意識を向けている。
「ハジメ、テレビのリモコン貸せっ!」
「貸さない。 俺が先に見てたから」
「先とか関係ないっ! 昨日クイズ見てただろっ? 今日は貸せよっ! なぁ、サブローお前もそう思うだろ」
「僕はアニメが見たい」
「サブローも敵かよ! おれは、野球が見たいんだって!」
「俺が先だから。絶対、貸さない」
3兄弟が何の番組を見るか、リモコンの取り合いをしている。
佐藤家バトルロイヤル開始。
夕食後のお馴染みの光景。チャンネル選択権は誰の手に。
私は長女として3人の弟達に何度も、やめなさい、と言っているが、全く聞く耳を持たない。
「こら、やめなさい」
試しに声を掛けてみたが、届く筈もない。
「おーい、ハジメ、ジロー、サブロー! お姉ちゃんの言う事を聞きなさーい!」
私はカメだから、人間にカメ語は通じない。およよよ。
残念、無念。ドンマイ、自分。
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