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「引っ張るなよっ！」
「ジローが引っ張ってるんだろ」
「貸せよっ！ 貸せったらっ！」
「やめろ、離せよ。壊れるだろ」
「やめねぇよ！ ハジメが譲れよっ！」
「にいちゃん達、リモコン壊れるよ」
「とか言いながら、サブローもリモコン引っ張ってるじゃねぇかっ！」
「あっっ！」
ジローのバカでかい声が響いて、取り合っていたリモコンが宙を舞った。
「あ！！！ 」
私が声をあげた瞬間、リモコンが我が城に飛び込んできた。
バシャーン！と、我が池にリモコンが水没した。
「あ、」
「あぁぁぁぁぁ！っ」
「あーあ」
私は３兄弟を順番に見つめる。
似た顔が悲しい表情を浮かべている。
私を見ているのか？ いや、正しくは我が池に飛び込んだリモコンを見つめている。
「でも、まあ…。リモコンがだめになったら、チャンネルは変えられないよな」
ハジメが勝ち誇ったように、ニヤリと笑った。
round１、勝者ハジメ。
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