round 2×「トイレの取り合い」

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「おれが1番っ!」 ジローの声が廊下に響いて扉が開く音がした。ジローが勝ったらしい。ここから見えないので分からないが大方そうだろう。 「くそ、いっつもジローにトイレは取られる」 「ジローにいちゃんから、足の速さとうるささ取ったら何も残らないよ」 「…サブロー、それは言い過ぎだろ」 2人がブツブツ言いながらリビングに入ってきて私を見た。 「おはよう、カメ子」 「おはよ、カメ子」  ハジメとサブローが私を見た。 交互に甲羅を押して、サブローが私の城をじーっと覗き込んだ。 「あ、カメ子、おっきなフンしてる。母さん、人参あげすぎじゃない?」 「えー? そんな事ないわよ」 「朝1番のトイレはカメ子だったな」  ハジメがそう言って私を見た。 し、し、し、失礼な!  姉の排泄物をジロジロと見るんじゃない! 「じゃあ、ジローがトイレから出てきたら、カメ子のゲージ掃除してもらうわ。あんたたち、今日、休みでしょ」 みよ子はそう言って、また私のゲージに人参を入れた。 ぐぬぬぬ、今日もまた人参ループか。 「あ〜スッキリしたっ! 」 ジローがトイレから出てきた瞬間、ハジメとサブローがトイレに走った。 「何? 何の話? おれがなんだって?」 「今日、ジロー休みでしょ。カメ子のゲージを掃除して」 「え〜?? おれだって、休みで、用事が、その、あ、あったよう、な…」 「何? 母さんの言うことが聞けないの? そう。それは大事な、大事な、大事な用事があるのね?」 みよ子の言葉にジローはしどろもどろになっている。ドンマイ、ジロー。 「返事が聞こえないんだけど?」 みよ子の圧がすごい。さすが裏番長。 「はひ」 ジローは私のゲージを見てため息をついた。 失敬な。姉の城を掃除できるなんてありがたいイベントだぞ。 round 2、勝者ジロー。でも本当は、みよ子の勝ち。
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