round 3×「食事の取り合い」

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round 3×「食事の取り合い」

 私はカメだ。 名前は佐藤カメ子。種類はリクガメ、メスの29歳。アラサーだ。  もう自己紹介はいいって? そうだな。 round3にもなって、起承転結である転に当たる項目でもう登場人物の紹介はいらないな。  しかし、そう指摘されても挨拶したい律儀な性格なのがこの佐藤家の長女、カメ子である。長女として、ふざけるところは全力でふざけて、締めるところは締めておきたい。  それが、カメ子である。  夕食時になり、周りはもうすっかりと暗くなった。我が城もジローによって掃除され、清々しい。相変わらず、人参の食事であるが、まぁ、致し方ない。明日はきっとジャガイモが加わるだろうが、それも致し方ない。  みよ子は鼻歌を歌いながらキッチンで夕食を作っている。リビングでは大黒柱がゴルフクラブを磨いている。 「ご飯できたわよ〜」  みよ子が声を掛けると、お腹をすかせた3兄弟がリビングに集まった。夕食を和気あいあいと食すのだろう。  今晩はカレーだ。スパイシーな匂いが部屋いっぱいに広がっている。  なるほど、みよ子が爆買いした人参とジャガイモはこうやって形を変えて人間の胃袋の中に収まるのだな。  私はいつも原形ばかりなので少々、味気ない。いつか、カレーも食べてみたいものであるが、カメである時点で難しいだろうな。  次に生まれ変わったら人間になろう。 そうしよう。そして、様々な食事を楽しむ事にしよう。
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