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「母さん、おかわりっ!」
ジローのでかい声でみよ子が立ち上がった。
「あ」みよ子が声を出した。
「どしたの?」
「もうカレーは1人分しかない」
その声にハジメとサブローがピクッと反応した。
「僕もおかわり」
「俺もおかわり」
……また始まってしまった。私はやれやれと首を振る。
佐藤家バトルロイヤル開始。
夕食時のお馴染みの風景。食事の取り合い。カレーは誰の胃の中に。
「おれ昼ごはん早かったから、足りないんだけど」
「俺は昼飯、食べてない」
「僕は1番の成長期だよ」
「サブローの末っ子アピールはずるいぞっ!」
「ジローにいちゃんは、大声出せば勝てると思ってる?」
「カッチーン、何だっ、その言い方っ! おれは兄貴だぞ」
「だったら、俺が1番上の兄貴だ」
「ハジメは俺様すぎるぞっ! 弟に譲れよっ!」
「弟に譲るんだったら、1番下は僕だよ。カレー食べたい」
試しに今回も3人に声を掛けてみる。
「じゃんけんしたらいいじゃない! お姉ちゃんの言う事を聞きなさーい!」
やはり誰も振り返らず、返事もしない。やっぱりカメ語は通じない。およよよ。
残念、無念。ドンマイ、自分。
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