round 3×「食事の取り合い」

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「母さん、おかわりっ!」 ジローのでかい声でみよ子が立ち上がった。 「あ」みよ子が声を出した。 「どしたの?」 「もうカレーは1人分しかない」 その声にハジメとサブローがピクッと反応した。 「僕もおかわり」 「俺もおかわり」 ……また始まってしまった。私はやれやれと首を振る。  佐藤家バトルロイヤル開始。 夕食時のお馴染みの風景。食事の取り合い。カレーは誰の胃の中に。 「おれ昼ごはん早かったから、足りないんだけど」 「俺は昼飯、食べてない」 「僕は1番の成長期だよ」 「サブローの末っ子アピールはずるいぞっ!」 「ジローにいちゃんは、大声出せば勝てると思ってる?」 「カッチーン、何だっ、その言い方っ! おれは兄貴だぞ」 「だったら、俺が1番上の兄貴だ」 「ハジメは俺様すぎるぞっ! 弟に譲れよっ!」 「弟に譲るんだったら、1番下は僕だよ。カレー食べたい」 試しに今回も3人に声を掛けてみる。 「じゃんけんしたらいいじゃない! お姉ちゃんの言う事を聞きなさーい!」  やはり誰も振り返らず、返事もしない。やっぱりカメ語は通じない。およよよ。  残念、無念。ドンマイ、自分。
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