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白で潰された部屋
怠惰に過ぎる時間に錘を引っ掛け
真っ逆さまに『今』が滑り落ちる様を見てみたいな
あくせくやって今日をひとつ積み上げてきたけど
結局またぜんぶ無かった事にされるんだもの
そしてまた始めからやり直しにされるんだもの
『キミは何を学んできたの?』
その問いかけをもうやめてくれないか
だって最後まで何も身につかなかったの
通算30年を全部ドブに流しちゃって
どこにも行き着かない事実だけを
たったそれだけをしつこく理解してきたんだもの
『誰がどう決め付けようとキミはキミなんだぜ?』
そんなアドバイスできるほどの経験値なんて
俺はひとつも積んでないのに
したり顔で鏡を覗き込む自分の卑怯さ
不精にもなれない顎先に苛立ちを覚えて
ただただカミソリを突き立てたい衝動に責め立てられる
死ぬことよりもっとずっと恐いものがあるよ
それはキミに本当に愛想をつかされてしまう事
そうなっても尚、強がりをしようとする自分がいる事
結局笑うことでしか解決できない薄っぺらい人生に
気づいてしまう瞬間が何よりもリアルに俺は怖い
そしていつものように
たったひとつを問いかけられる
『いったいキミは何を学んで生きてきたの?』
そして答えもたったひとつ
『結局最後まで何も身につかなかったの』
どこにも行き着かない事実だけを
ずっとそれだけをしつこく理解してきたんだもの
眩い部屋の一人掛けソファの脇で
電柱のように背を伸ばして天井を探す
美しかったのはキミひとりで
他の全ては先闇と同意儀だった
何でもいいからキミに質問したかった
何でもいいからキミの答えを聞きたかった
しかし疑問文はこの部屋で奪われて
『今』がまたひとつ、
シルビアホワイトの壁に飾られる様を
笑いながらただ眺めているだけの日々を過ごしている
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